キノコバエの駆除

要点

キノコバエを減らすには、まず土の表面2〜3cmを乾かし、次に湿った土にいる幼虫を退治します。飛んでいる成虫だけを追っても終わりません。

水やりのたびに鉢土から飛び立ち、また土の上に戻る小さな黒いコバエは、キノコバエ(クロバネキノコバエの仲間)です。体長は3mmほどで細く、脚が長く、果物かごの周りではなく鉢の近くの低いところにとどまります。成虫そのものは植物を傷めません。被害を出すのは幼虫で、黒く光る頭をもつ透明な小さなうじが、湿った用土の表面から数cmのところにすんでいます。そこで最初にすることは、この層をいつも湿った状態にしないことです。表面から2〜3cmが乾いてから水をあげ、受け皿や鉢カバーにたまった水は捨てます。そのうえで黄色の粘着シートを土のすぐ上に差し、成虫の数を数えます。

キノコバエかどうかを見分ける

キノコバエの成虫は濃い灰色から黒色のハエで、多くは体長3〜4mm、長い脚と細長い触角をもちます。飛ぶのは得意ではありません。土の上を歩き、鉢を動かすと飛び上がり、近くの窓辺に集まります。

探すべきなのは幼虫です。体長は最大6mmほどで脚がなく、白から半透明で、黒く光る頭をもち、用土の表面から数cmのところにすんでいます。とても湿った鉢では、土の表面に細いぬめりの跡が見えることがあります。

鉢を調べるときは、生のジャガイモの薄切りを切り口を下にして土に押し当て、2〜3日後に持ち上げます。裏側に移ってきた幼虫が、頭の黒い透明な小さなうじとして見えます。

よく似た虫:

  • ショウジョウバエは黄褐色で目が赤く、体が丸みを帯びています。集まるのは熟した果物、生ごみ、排水口で、鉢の周りではありません。
  • ミギワバエはがっしりした体で触角が短く、いつも濡れている面に生えた藻で増えます。原因はキノコバエと同じで、表面が乾かないことです。
  • トビムシは羽がなく灰色か白で、水をあげると跳ねます。用土の中にすみますが、植物を傷めません。
  • コナジラミは葉の裏にいて、株に触れると白い群れになって飛び立ちます。これは別の害虫です。

注目ポイント

  1. 01水やりのときに土から飛び立つ小さな黒いハエ
  2. 02果物や葉ではなく、土のすぐ上にとどまっているか
  3. 03ジャガイモの薄切りの下にいる、頭の黒い透明な幼虫
  4. 04表面から2〜3cmの土の湿り具合
  5. 05苗、挿し木、植え替えたばかりの株があるか

キノコバエが発生する原因

キノコバエには、有機物の多い湿った表面が必要です。メスは用土のいちばん上の層に1匹あたり最大200個の卵を産み、幼虫はそこで菌類、腐りかけた有機物、細い根を食べます。

よくある原因:

何度も戻ってくるときは、ほとんどの場合、部屋のどれかひとつの鉢がまだ繁殖できるほど湿っています。

  • 土の表面が乾かない。日にちを決めて水やりをしている、受け皿が深い、鉢カバーに水がたまっている、といった状態では表面が湿ったままです。いちばん多い原因です。
  • 秋と冬。光が減って部屋が涼しくなると用土の乾きが遅くなるのに、水やりの習慣は夏のままになりがちです。10月ごろにキノコバエが出やすいのはこのためです。
  • 新しく買った用土。開けたままや屋外で保管された袋には、すでに卵や幼虫が入っていることがあります。新しい植物の鉢から入ってくることもあります。
  • 堆肥やピートモスの多い用土。水分とえさを長く保ちます。
表面は乾いて白っぽく、その下の土はまだ湿って黒っぽい鉢の断面
表面は乾いても下はまだ湿っています。卵が産まれるのはこの湿った層です

対策の手順:穏やかな方法から強い方法へ

上から順に試し、粘着シートにつく数が減ったところで止めます。成虫は鉢から鉢へ移るので、部屋にある鉢はすべて対象にします。

手順1:表面から2〜3cmが乾くまで水を待つ。指を土に2〜3cm差し込み、まだ湿っていれば待ちます。水やり直後と数日後に鉢を持ち上げて重さを比べると、表面を見るより多くのことが分かります。受け皿や鉢カバーにたまった水は、30分たったら捨てます。表面が乾いていると卵と若い幼虫が生き残りにくくなり、産卵に来るメスも減ります。数が減ることは多いですが、鉢の確認は続けてください。

手順2:乾かせない植物には底面から水をあげる。苗、シダ、カラテアなど、いつも適度な湿り気が必要な植物には、受け皿から水を吸わせます。受け皿に水を張り、20〜30分吸わせてから、残りの水を捨てます。根には水が届き、表面は乾いた状態に近づきます。

手順3:黄色の粘着シートを差す。成虫が動き回る土のすぐ上に、低く差します。産卵に来るメスを捕まえますが、本当の役目は数を数えることです。週ごとにつく数が減っていれば、ほかの対策が効いています。粘着シートだけで発生が終わることはありません。

手順4:幼虫にBti剤を使う。Bti(バチルス・チューリンゲンシス・イスラエレンシス)は、鉢土の中のキノコバエの幼虫を抑えられます。日本で観葉植物向けに販売されている製品の中から、ラベルにキノコバエの幼虫と室内の鉢土への使用が書かれているものを選び、作り方、量、繰り返す間隔はラベルに従います。蚊の幼虫用の製品が、この使い方にそのまま適しているとは限りません。BT剤なら何でもよいわけでもありません。Btiは飛んでいる成虫には効かないので、粘着シートはそのまま残します。

手順5:または線虫製剤を使う。スタイナーネマ・フェルチアエ(Steinernema feltiae)は、幼虫の体内に入り込む顕微鏡サイズの線虫です。使う場合は日本で観葉植物向けに販売されている製品を選び、保管、溶かし方、量、繰り返しはラベルと説明書に従います。用土は乾かさず、かといって水浸しにもしないようにし、製品が示す用土の温度範囲を守ります。カンザス州立大学によると、用土の温度がおよそ15〜26°Cのときにもっともよく効きます。鉢ごとに、表面を乾かすか、線虫のために乾かさないかを決めてください。両方を同時に行うことはできません。

手順6:表面を覆う。粗い砂、細かい砂利、発泡煉石の粒で、鉢のふちまで表面全体を覆うと、表面が早く乾き、産卵しにくくなります。役立つと感じる人は多いものの、試験の結果は一致していません。手順1〜5の補助として使い、これだけで退治しようとしないでください。

手順7:新しい用土に植え替える。数週間たっても発生が続く鉢は、株が耐えられる範囲で根から古い土を落とし、乾いた場所で保管された新しい観葉植物用の土と清潔な鉢に植え替えます。古い土は再利用せずに捨てます。弱っている株は、回復してから植え替えます。

手順8:最後の手段として成虫用のスプレーを使う。ラベルに観葉植物への使用が書かれたピレトリン系のスプレーは、飛んでいる成虫をすぐに落とします。ただし効果は一時的です。次の世代がまだ土の中にいるからです。必ず手順1〜5と組み合わせ、ラベルに従って使います。

対処法

表面が乾いてから水をあげ、受け皿の水を捨て、黄色の粘着シートを差し、幼虫にはラベルに従ってBti剤か線虫製剤を使います。
Mr. Kittyがじょうろで線虫製剤を溶かした水を湿った土に注いでいる
線虫製剤は水やりの水に混ぜて、湿った土にまんべんなく注ぎます

家庭でできる対策:効くものと効かないもの

水やりを変えること、つまり表面を乾かすことと底面から水をあげることが、家庭でできるいちばん確かな対策です。お金がかからず、幼虫のいる場所に効きます。

過酸化水素水(オキシドール)を薄めて土に注ぐ方法は、おすすめしません。参考にした公的な園芸情報は、水やりの見直し、線虫製剤、適切な表示のある製品を勧めていますが、この希釈液の効果と植物への安全性は確かめられていません。

ニームオイルを土に注ぐのは、ラベルにキノコバエの幼虫、室内の観賞植物、用土への水やりによる使用がはっきり書かれている場合だけにします。量と間隔はラベルに従い、その使い方が書かれていなければ別の方法を選びます。

珪藻土を表面にまく方法は、乾いている間しか効きません。水をあげる鉢の表面は、長く乾いたままではいられません。

マッチの頭を土に差す方法を勧める公的な園芸機関はなく、幼虫に届くという根拠もありません。

シナモンは表面のカビを抑えることはあっても、幼虫にははっきりした効果がありません。

食器用洗剤を水やりの水に混ぜると、幼虫より根を傷めます。

酢を使ったトラップはショウジョウバエをよく捕まえますが、キノコバエはほとんど捕まえません。キノコバエは果物のにおいに寄ってこないからです。

コーヒーかすは表面を湿らせ、有機物を足します。どちらも幼虫が育つ条件です。

土を加熱する方法もよく紹介されますが、観葉植物の鉢なら、乾いた状態で保管された新しい土に替えるほうが簡単です。

食虫植物は数匹の成虫を捕まえるだけで、鉢の中の数は変わりません。

いなくなるまでにかかる期間

およそ24°Cでは、卵から産卵できる成虫までの一世代が約17日です。卵は約3日でかえり、幼虫は約10日えさを食べ、さなぎの期間が約4日です。涼しい部屋では1か月近くかかります。

そのため、どの方法にも時間がかかります。粘着シートに成虫がつかなくなるまで、3〜6週間を見込んでください。すでに鉢にいる幼虫が死に、次の世代が続かなくなるまでの期間です。週ごとにつく数が減っていれば順調です。6週間たっても成虫が飛ぶなら、まだ湿りすぎている鉢か、対策をしていない鉢があります。

キノコバエによる害

キノコバエは人を刺したりかんだりせず、寝具や食べ物で増えることもありません。成虫の寿命は約1週間です。

植物への影響は株の若さで変わります。根がしっかり張った丈夫な観葉植物は、ほとんど影響を受けません。苗、挿し木、植え替えたばかりの株は、幼虫に細い根を食べられると、成長が止まったり、しおれたり、倒れたりすることがあります。湿った土が続くと、世代を重ねるごとに数が増えていきます。古い株がしおれる場合は、キノコバエより、水のやりすぎや根腐れが原因であることが多いです。

再発を防ぐ

日にちではなく土の乾き具合で水をあげ、成長がゆっくりになる秋には、あらためて確かめます。

鉢底に穴のある鉢を使い、鉢カバーに水をためたままにしないでください。

用土は傷みのない、乾いた場所で保管された袋を選び、開けた袋は使うたびに閉じます。砂、軽石、パーライトの多い用土は表面が早く乾きます。

発生したことのある鉢は、粗い砂や細かい砂利で表面を覆うと乾きやすくなります。手順6のとおり、ほかの対策の補助として使います。

新しい植物は数週間ほかの植物から離して置き、水やりのときに土の表面を見ます。

土の上に落ちた葉や花がらは取り除きます。

発生した鉢には、黄色の粘着シートを1枚残しておきます。部屋を飛ぶ成虫に気づく前に、新しい世代を知らせてくれます。

長く発生を抑えたいなら、弱い株をハイドロカルチャーに切り替える方法もあります。土がなければ発生の危険はずっと小さくなりますが、容器の中の藻や植物のくずに幼虫がすむこともあるので、容器は清潔に保ちます。

鉢の土の表面に砂の層を敷いている
砂の層は表面全体に、鉢のふちまで敷きます

土を捨てるとき、株を手放すとき

発生した株を植え替えるときは、古い土を必ず捨てます。ほかの鉢には使いません。

株そのものを手放す必要はめったにありません。考えるのは、6週間対策を続けても発生がひどく、ほかの鉢にも広げ続ける、安く買い直せる株の場合か、根をすでに食べられてしまった苗や挿し木の場合だけです。

新しく迎えた植物や贈られた植物を確かめる

キノコバエが入ってくるのは、たいてい新しい植物か新しい用土の袋からです。ほかの植物と並べる前に、鉢を確かめます。

株を持ち上げて、土の表面と鉢底の穴を見ます。鉢を動かすと飛び立つ小さな黒いハエ、土の上のぬめりの跡、黒く光る頭の透明な幼虫が見つかれば、すでにキノコバエがいます。

生のジャガイモの薄切りを切り口を下にして土に押し当て、2〜3日後に持ち上げます。黄色の粘着シートを土のすぐ上に差し、最初の数週間はそのままにします。

表面から2〜3cmの土を触ります。湿っていれば、その植物が耐えられる範囲で乾かしてから次の水をあげ、2〜4週間はほかの植物から離して置きます。

開けた用土の袋は使ったあとに閉じ、乾いた場所で保管します。成虫や幼虫のいる土は鉢に使いません。

次に確認するタイミング

粘着シートについた成虫を、週に1回、同じ曜日に鉢ごとに数え、いっぱいになったシートは取り替えます。ジャガイモの薄切りは2〜3日後に持ち上げ、幼虫がいたら新しいものに替えます。水やりの前には毎回、部屋のすべての鉢の表面2〜3cmを触ります。

期間は3〜6週間が目安です。週ごとにつく数が減っていれば、対策は効いています。2週続けてシートに何もつかず、ジャガイモの薄切りにも幼虫がいなければ終わりです。そのあとも秋から冬の間は、早めに気づくためにシートを1枚残しておきます。

鉢の土に差した黄色の粘着シート
シートは成虫が飛ぶ土のすぐ上に差し、週に1回数を数えます

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よくある質問

キノコバエを早く駆除する方法は?

土の表面2〜3cmを乾かし、受け皿と鉢カバーの水を捨て、幼虫にはラベルに従ってBti剤か線虫製剤を使います。その間、黄色の粘着シートが成虫を捕まえます。成虫用のスプレーは一時しのぎです。次の世代がまだ土の中にいるからです。

観葉植物にキノコバエが発生する原因は?

湿った用土の中の卵です。開けたまま保管した用土の袋、新しい植物、外から入った数匹の成虫が湿った鉢を見つけることが始まりになります。用土が乾きにくい秋と冬に、特に多く出ます。

キノコバエは放っておけばいなくなりますか?

植物に合わせて表面を乾かすと数が減ることは多いですが、いなくなるとは限りません。鉢の確認を続け、減らないときは幼虫用の対策を使います。湿った土が続くと、繁殖も続きます。

BT剤はキノコバエに効きますか?

キノコバエの幼虫に使えるのは、Bti(バチルス・チューリンゲンシス・イスラエレンシス)の製品のうち、ラベルにキノコバエと室内の鉢土への使用が書かれているものです。蚊の幼虫だけを対象にした製品で代用しないでください。量と間隔はラベルに従い、成虫の確認には粘着シートを使い続けます。

オキシドールはキノコバエに効きますか?

自分で薄めた過酸化水素水を土に注ぐ方法はおすすめしません。その濃さでの効果と植物への安全性を示す確かな根拠がないからです。植物に合った水やり、線虫製剤、ラベルにキノコバエと室内の鉢土が書かれたBti剤を選んでください。

キノコバエ対策に土を熱湯や加熱で消毒したほうがいいですか?

土を加熱する方法はよく紹介されますが、観葉植物の鉢なら、乾いた状態で保管された新しい土に替えるほうが簡単です。植え替えが必要なのは、数週間たっても発生が続く鉢だけです。古い土は捨ててください。

キノコバエは人に害がありますか?

人を刺したりかんだりせず、病気を運ぶこともありません。被害を受けやすいのは苗、挿し木、植え替えたばかりの株で、幼虫が細い根を食べます。数が多ければ、古い株も傷むことがあります。

キノコバエがいなくなるまで、どのくらいかかりますか?

たいてい3〜6週間です。一世代は暖かい部屋で約2週間半、涼しい部屋では1か月近くかかるので、すでに土の中にいる幼虫より長く対策を続ける必要があります。

キノコバエが出たら土を替える必要がありますか?

最初からは必要ありません。表面を乾かして幼虫に対策をすれば、ほとんどの鉢は落ち着きます。数週間たっても発生が続く鉢だけ新しい土に植え替え、古い土は捨てます。

新しい植物にキノコバエがいないか確かめる方法は?

土の表面と鉢底の穴に小さなハエや黒い頭の透明な幼虫がいないかを見て、ジャガイモの薄切りを2〜3日土に押し当て、黄色の粘着シートを低く差します。2〜4週間はほかの植物から離して置きます。

最終確認日: